法雲寺② ~黄檗ロマンを感じながらピクニックができるお寺~
堺市は美原区にあります、黄檗宗のお寺、法雲寺さん
(堺市美原区今井192)
境内にはそれはそれはスゴイ量のツツジがあって
4月半ばから後半にはツツジで埋もれてしまうツツジ寺なんですが
開山は江戸時代の1672年
(縁起について、詳しくは「法雲寺①」をご覧ください◎)
その頃からツツジが植わっていて
350年の月日でここまで成長したんかな・・・!
って思ってたら
「いえ、先代と先々代の住職が植えたんですよ」
と、お寺の方が
え、えーーーーー!?!?!?
わりと最近やん・・・(笑)
な、なんか・・・
住職にもツツジにも罪はないけど
ちょっと夢がないというかロマンがないというか・・・(失礼)
2005年に堺市に合併されるまで
美原町の町の花というのがツツジだったため
境内いっぱいにツツジを植えてみたそうです
ツツジって案外短期間で背丈くらいまで成長するんですね・・・
今年は4月末に、満開のツツジとともに色々なイベントが楽しめる
「つつじまつり」が開催されましたが
イベント抜きにしても毎年春にはたくさんの参拝者が訪れるそうです
わたしはタイミングを逃してしまって
ゴールデンウィークに伺ったのですが
花の見ごろは過ぎてしまいほとんど茶色くなってしまってました
それでも連休ということもあってか
わりとたくさんの参拝者が境内を見学されてらして
「ねぇどこに敷く?」
「このあたりでええんちゃう?」
「いいねぇ~」
という声が聞こえてきたので見てみれば
まさかの境内でレジャーシートを敷き始めるマダムたち・・・!
え、うそやん、え、えぇ?????
と目を疑ってると、お寺の方が
「あ、ウチのお寺ピクニックOKなんで★」
ま じ か (笑)
こちら、六角堂という納骨堂
法雲寺さんは黄檗宗ですが
宗派を問わず納骨していただけるそうです
その、納骨堂の軒下でもピクニックをする方々・・・(笑)
左にチラリと見えてる方々はお弁当をモグモグ
右に一人座ってらっしゃる方は日陰でのんびり読書でしょうか
いや、納骨堂の隣でくつろぐって
前代未聞ちゃう・・・!?
でも、お寺って敷居高い感じがするので
こんな風に気楽な感じで人に来てもらうのも素敵かもしれませんね◎
そんな、ゆるりとした雰囲気の法雲寺さん
山門から境内をご紹介していきたいと思います~~~
***
ハイ
こちらが山門↓
難波の瑞龍寺のように朱色に桃の絵が描かれてるような
ぱっと見でめちゃくちゃチャイニーズを感じるってわけではないですが
よく見てください
屋根の中央部分が高く、左右の部分を低く段差を設けている造り
これは日本の社寺建築ではあまり見かけない形式ですね
そして、中央部分の屋根の上の両端には摩伽羅
左右の低い方にはシャチホコが乗ってます
一見同じように見えますが
摩伽羅にはヒレの代わりに足が生えてるのが特徴
摩伽羅は元はインド神話に登場する怪魚だそうで
女神の乗り物としてたとえられた、
ガンジス川に棲むワニといわれています
水辺の動物の中でも最★強ということで
アジアでは聖域の結界にあたる入り口の門や屋根に
置かれることが多いそうですが
日本ではあんまり用いられていません
ただ、中国からの文化を引き継いだ黄檗宗のお寺では
屋根の上に摩伽羅が乗せられてることが多いようです
ちなみに、シャチホコって何かご存じ?
こやつも伝説の生き物なんですが
「建物が火事になると口から水を吐き出して消してくれる」という
伝説があるから、よく寺院やお城の屋根に乗っかってるんですって
ところで
法雲寺さんには、開山以来、大小合わせて40以上の堂宇が
建立されたと記録がありますが
現在あるのは、近年に新築・改装されてたものを含めて半分以下
しかし、創建当初の姿を残すものもあって
この山門もそのひとつ
1687年に建てられたこの山門は
黄檗宗特有の建築様式を残す山門としては
国内最古のものなんですって!!!
入り口から黄檗ロマンをビンビンに感じますね!!!!!
山門をくぐり
現住職がお植えになられたツツジの壁に圧倒されながら
本殿へ向かう前に現れるのは
これまた黄檗宗独特の伽藍の1つである《天王殿》
こちらは1704年に建てられたものです
まっすぐ正面に見えるのは布袋さん(弥勒菩薩)
(黄檗宗寺院に布袋さんが祀られている理由については
「瑞龍寺」をご覧ください◎)
まず最初に布袋さんにお参りすることで
その大きなお腹に煩悩や欲望を取り払ってもらうのです
それから本堂や他のお堂にお参りして
帰りにもう一度布袋さんを参ると
手に持った布袋から「徳」を与えてくださると伝えられています
はたして
欲望だらけの姫松ですが
受け止めてくださったでしょうか←
天王殿には布袋さんの他に
その名が示す通り、四天王が四方に安置されています
(ガラスに反射して観音様が映っちゃってますが、ちゃんと四天王がいます 汗)
四天王は、侵入者からお寺を護る役割を担っています
ア〇ソック四天王・・・(違)
天王殿を抜けて振り返ると
ちょうど布袋さんの裏にあたる位置に、達磨大師像があります
だるまさんのモデルになったこのお坊さんは
中国禅宗の開祖とされるお方です
さあ、布袋さんに煩悩預けていよいよ本堂へ・・・!
の、前に
遠目からでも大変目立つ、金ぴかの観音様
(右端に見える屋根が本殿)
黄檗宗寺院になる前は
曹洞宗の宗月さんというお坊さんがこのお寺にいて
ある夜みた夢から観音像を掘り出したんですね
あ、このでっかい観音さん掘り出したんじゃあないですよ?(そらな)
宗月さんが掘り出した観音像は
「掘出観音」と呼ばれ、現在は公開されていない秘仏なんですが
その「掘出観音」の徳を徳を称え、
さらに人々の繁栄と厄除けを祈願して造られたのが
このきんぴかのでっかい観音像、「厄除け観音」
ちなみに、法雲寺さんは河内西国観音霊場の第6番霊場となっています
目立つので迷わず参れますよ★
それより気になるんです
松よ(笑)(笑)(笑)
伸び方のクセ強すぎやしないか(笑)
支柱があるように見えないんですが
よく折れずに成長してるね・・・?
観音さんは台座含めて約10メートルらしいんですが
そこまで伸びる・・・かな・・・?期待しちゃう(笑)
改めて、いよいよ本殿へ!
本殿もまた、1684年に建立された建造物です
《大雄宝殿》という名前の本殿
「大雄」は釈尊のことで
釈迦如来を本尊とする建物にはこの名がつくそう
黄檗宗のご本尊は釈迦如来が多く
黄檗宗寺院では本堂を「大雄宝殿」と呼ぶことが多いようです
法雲寺さんでは、釈迦如来を中心に、
薬師如来と阿弥陀如来を祀っています
三尊の背後・・・わかりますか
小さな仏さんがズラッッッッと並んでいるんです・・・
三尊各々の背後に、小さな尊像を1111体ずつ
全部合わせって3333体!!
これは、広大無辺な三千世界をあらわしているのだとか
三千世界というのは、仏教の世界観における宇宙の単位
・・・うぅん、わかりやすく説明するのが難しいのですが
とにかくひろ~~~~~~~い世界の意味
3333体の仏を見て、三千世界を感じれるほど
わたしはまだ仏教に通じていないのですが・・・
とにかく、圧巻ではあります
これらは全て木彫りに金箔が施されたもので
1684年に大阪の豪商・今津浄水居士なる人物が寄進したものだそう
ちなみにこの今津さん
ネットで調べてみてもほとんど情報がなく何者かわからなかったのですが
黄檗宗の大本山である京都の萬福寺にもお堂を一つ建てられてるので
相当なお金持ちだったんでしょうねぇ
大雄宝殿内にはこれらの他にも
聖徳太子像他、様々な仏像が祀られています
お寺の方に
「3333体描いてくださいよ♪」
と言われたのですが
わたしの画力じゃ一生かかるのですみませんムリです(土下座)
***
ここまでで、境内の3分の1ほどをご紹介致しました◎
なかなかどうしてピクニックできるくらい広い境内のため
ひとつひとつ黄檗ポイントを拾っていると長くなってしまったので
またまた次回へ続きます★
黄檗ロマンの他、見ごたえある植物もまだまだ登場しますよ・・・(笑)
2022.6.26 姫松なつき
〈参考文献〉
●大寳山 法雲禅寺ホームページ
(https://www.oubaku.org/houun/index.html)
●黄檗宗 慧日山 永明寺ホームページ
(http://www.biwa.ne.jp/~m-sumita/oubakujisyotop.html)
●宝林寺 仏事メディア お坊さんの知恵袋
「仏教事典 摩伽羅(まから)」
(https://media.horinji.or.jp/%E6%91%A9%E4%BC%BD%E7%BE%85/)
●じゃらんニュース
「天守に飾られる「しゃちほこ」とは?
意味や由来・見られるおすすめのお城をご紹介」
(https://www.jalan.net/news/article/553176/)
コメント
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楽しく読ませてもらってます。
法雲寺は話題がいっぱい詰まったお寺で、狭山藩北条氏や七福神参り、銀杏の木などなど。
次回の記事も期待しています。
法雲寺のガイドにハマっているじいじいより
コメントありがとうございます!
わたしが中世以降の歴史が苦手なため、深く調べられていないところも多々ありますが、楽しんでいただければ幸いです
法雲寺のガイドをなさっているのですね!堺市のガイドボランティアの方でしょうか・・・(いつかわたしも堺ガイドになりたいと、ひそかに思っています)
ご縁があれば、ガイドしていただきたいです!