堺の菅原神社のご祭神うちの1柱である、天穂日命あめのほひのみこと

菅原神社の紹介では、
農業の神さんですよということしか書きませんでしたが
どんな生まれでどうして農業の神と呼ばれるのか
ちょっと突っ込んで書いてみたいと思います!

(ちなみに、「天穂日命」は『日本書紀』表記
 『古事記』では「天之菩卑能命」となります)

***

天穂日命は、アマテラスとスサノオが誓約うけいした時に
生まれた神さんのうちの一人です

・・・は?ウケイ???

ちょっと、さっそくではありますが
無知姫松にお付き合いくださいまし。

アマテラスとスサノオは姉弟です
イザナギ&イザナミ夫婦のような関係ではありません
近親相姦っちゃあ近親相姦ですが
ナニをナニにナニして出産、というんじゃなくてね

イザナギパパに

「スサノオは海原を支配するんやで」

と言われたスサノオなんですが

「イヤだイヤだ!ママがいる黄泉の国に行きたい!!」

とダダこねて
(スサノオの出生も特殊で、イザナギの子ではあるけど
 イザナミの腹から生まれたわけではないの・・・
 だけど、この話はここでは割愛)

そしたらイザナギパパ

「そんなワガママな子はもう知りません!
 もうこの国に住んだらアカン!」

と言って、スサノオを国から追放

・・・いや、厳しすぎるでぇ・・・

「うっ、うっ・・・(泣)
 高天原たかまがはらのねーちゃんに会ってから黄泉の国行くんや・・・」

アマテラスはイザナギパパに高天原を治めるように
言われてたんですね
(高天原は、いろんな神さんが住んでる国)

しかしアマテラス

「ヤバい、弟があたしの高天原奪いに来た・・・!」

と勘違いして、武具を携え弟を出迎えました

「ちゃうやんねーちゃん!
 俺、そんなつもりないって!!」

「信じられへん!」

「どうしたらええんや」

「“ウケイ”するしかないわね」

ハイ出たウケイ。

この誓約(うけい)というのは
ウソを言ってるかどうかジャッジするためのもので

“〇〇をしたときに、ウソついてたら△△になる
 ウソついてなかったら□□になる”と宣言しておいて
実際にどうなるかで成否を判断する、というもの

で、このとき何したかというと
アマテラスがスサノオの持ってる剣を受け取って
バリボリかみ砕いて
ふぅっと息を噴き出して3柱の女神が生まれ

スサノオはアマテラスの持ってた玉飾りを受け取って
同じくバリボリかみ砕いて息吹き出して
5柱の男神が生まれました

・・・うん、ちょっと人間には理解しがたい
状況過ぎますが

なにはともあれ、この5柱の内の1柱が
天穂日命なのです

・・・出生にたどり着くまでの回り道が長すぎました(汗)

その後天穂日命は、葦原中国あしはらのなかつくにを平定するため
出雲の大国主神おおくにぬしのかみという神さんを
説得するよう遣わされました
(葦原中国というのは、高天原と黄泉の国の間
 つまり地上の世界)

そう、これは“国譲り”の神話と呼ばれていて
葦原中国の支配者である大国主神が
高天原の神々に支配権を譲るまでのストーリー

いろ~~~んなエピソードがあって
長くなりすぎるのでここでは割愛しますが

そんな壮大なお話の中の、ひとつのエピソード。

高天原の最高司令官(神)であるアマテラスが
大国主から葦原中国の支配権を譲り渡すよう交渉してきなさいと
天穂日命に言ったんですね

しかし、天穂日命は

「アマテラスさまの言う通り!」

って出かけていったはずなのに

「オオクニヌシさまの言う通り!」

と、コロリ

説得してたはずが、大国主神のご機嫌とりをしすぎて
心服してしまいます

3年間、地上にとどまり
高天原へは一切の報告もせず
交渉は失敗に終わってしまいます

アマテラスはその後も他の神を遣わし
最終的には国譲りは成功するのですが

その後天穂日命は、そのまま大国主神に仕えるよう命じられ
天穂日命の子は
出雲の国造(国の長)、及び土師はじ氏の祖神になったといわれています

土師氏っていうのは古代の豪族で
古墳時代には、古墳の造営や葬送儀礼に関わった氏族

堺の菅原神社に祀られているもう1柱の
野見宿祢という人物
この人は天穂日命の14世の子孫にあたり
土師氏の祖先

ほーう、この2柱は繋がっていたのか~!
でも、なんで菅原道真と一緒に祀られているのか・・・?
と思って、ちょっと調べてみると

野見宿祢の子孫が、菅原道真なんですって!!!

ほっほーう!
菅原ミッチーと、その祖神ズを祀ったというわけだったんですね!

人間の始まりはさ
アウストラロピテクスかもしれないし
アダムとイブかもしれないけど

日本人なら、もとを辿れば誰でも何かの神さんに
繋がっているかもしれない・・・

わたしだってアマテラスの末裔かもしれない・・・!
(妄想するのはタダ)

天穂日命はどんなご利益があるかというと
最初にも書いた通り、農業の神さんなので
農業の守護だったり、農業振興だったり

名前に“穂”がついてて
さらに太陽を意味する“日”という字もはいってますからね

他にも、商売繁盛だったり、国土開発だったり
受験合格だったり、縁結びに金運招福、学問上達・・・

まぁ、なんていうか、オールマイティーに
ご利益がありそうな神さんのようですよ

天穂日命を祀っている神社は大阪府下にもいくつかあるようです
菅原ミッチーと一緒に祀られていることもあれば
他の神さんと祀られていることもあるし
天穂日命だけを祀っている神社もあります

お見かけした際には、
あの道真公のひいひいひいひひひいいい・・・・・・おじいさん!
と思い出してみてください~~

2021.1.9 姫松なつき

〈参考文献〉
●Wikipedia(アメノホヒ、アマテラスとスサノオの誓約、土師氏、野見宿祢)

●人文研究見聞録
 「天穂日命とは?」
 (https://cultural-experience.blogspot.com/2017/03/blog-post_7.html

●古事記学センター
 「天之菩卑能命」
 (http://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/amenohohinomikoto/

●日本の神様と神社
 「天穂日命のご利益や神社」
 (https://xn--u9ju32nb2az79btea.asia/shinto10/shrine65.html

●歴史上の人物.com
 「菅原道真」
 (https://colorfl.net/sugawaramichizane-kakeizu/#i-2

●『古事記ものがたり』
 (著者:小林晴明・宮崎みどり)

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