法雲寺③ ~境内で七福神めぐり~
堺市美原区にある黄檗宗のお寺、法雲寺さん
(堺市美原区今井192-1)
見どころ満載でお伝えしたいことが多くて
ついに第3回目となりました(汗)
***
春にはツツジで溺れるお寺は
年中いつでもピクニックOKなお寺
っていうと、どんなファンキーなお寺やねんって思われそうですが
大変歴史ある黄檗宗のお寺で
建立当初の姿を残し重要文化財となっている建物も多く
黄檗宗らしさ溢れる境内は見ごたえバツグン
前回は、山門から本堂までを辿ったので
今回は本堂を出たところから参ります◎
本殿を出たら、東側に続く回廊へ
回廊の先には《方丈》という建物があります
こちらは増築&改築が施されていますが
1702年に建立された歴史ある建物です
方丈というのは、禅宗寺院においてお坊さんたちが生活するところのこと
ですが、現在はこちらに住まわれてることはなく
お寺で開催されるイベントや教室に利用されているとのこと
広い炊事場もあって
ここで精進料理を作っていたそうなのですが
ここでまた、黄檗ポイント★
黄檗宗の精進料理はこれまた独特
精進料理っていうと
お膳の上に、素朴な味付けの小鉢がいくつものってるイメージがありますが
一般的に精進料理といわれるこのスタイルは
曹洞宗の開祖である道元さんを元とする
「永平寺流」というスタイル
一方黄檗宗の精進料理は「普茶」と呼ばれていて
何よりの特徴が、大皿に4人分の料理が盛られているんです
「永平寺流」では、料理すること・それを頂くこと、
それもまた修行のひとつという考えなのに対し
「普茶」は“普く大衆と茶を供にする”という意味があり
飲食平等の趣旨のもと、食そのものを楽しみましょうという考え方
1卓に4人というのが基準なので
4人分を大皿に盛って、取り箸もなく、
各々好きに自分の箸で取って食べるそうです
が
このご時世でしょう・・・
対コロナには向かないスタイルゆえ、
法雲寺さんでは現在は精進料理を作ってはいないそうです
普茶のもう一つの特徴が、植物油を多く使われるところ
唐揚げのような揚げ物もあり
現代人にも好まれるような味付け・・・らしい
食べてみたい・・・(じゅるり)
ところで、話は回廊に戻りまして
回廊の、方丈寄りのところに、こんなものがあってね↓
さ・・・魚・・・?
なんか玉咥えて腹に穴が開いた、怪しいオブジェ・・・
ではなく
これまた黄檗ポイント~~~!
これは「開梆」と呼ばれる法具のひとつで
時刻を知らせるためのもの
「ごはんの時間だよ~~~!」を知らせるものなので
方丈近くに吊るされているようです
この開梆は何の魚でしょうね・・・?
一般的には、鯉や鯱、ナマズといった魚がモチーフになっていて
龍頭魚身という頭が龍で体が魚なパターンもあるらしい
なんで魚なのかというと
魚って昼も夜もずっと起きてるやん?
いや、魚の生体詳しくないから、寝る魚もいるかもしれへんけど
ずっと目を開けてる魚=不眠不休をあらわしていて
「魚のように昼夜の別なく寝る間を惜しんで日夜修行に励みましょう!」
という修行僧への戒めが込められているそうです
口の玉はあぶく(ぶくぶく)
「煩悩珠」といって、煩悩のあぶくを吐き出している様子です
食事の時間を知らせる他、法要の際にも打ち鳴らされ
木槌でおなかあたりを叩くので、
おなかに穴が開いてきてしまってるんですね
この、おなかを叩くことで
口から煩悩のあぶくを吐き出させるのだそう
お経を読むときにポクポク鳴らす木魚
木の魚。そう、木魚は開梆が転じたものなのですって
へ~~~~~
回廊の北側には2つ建物があって
向かって左が《耀先殿》
これは、狭山藩第五代藩主・北条氏朝さんが
祖先の霊をお祀りするために1702年に建てられたもの
(氏朝さんは法雲寺を開山した慧極道明さんの元で修行してたお方)
そしてその右側には《開山堂》
こちらは慧極道明さんの古稀のお祝いに
1701年に建立されたものです
こちらには慧極さんの像と、
法雲寺歴代住職や縁のあるお坊さんの位牌が祀られているそう
さらに、後水尾天皇の娘さんである光子内親王から賜った
「大機」の扁額もあるとか
後水尾天皇は超★黄檗宗推しだった天皇なので
光子さんもパパについて法雲寺に訪れていたのでしょうか・・・
後水尾天皇は当代一級の文化人でもあったようで
パパに似たのか光子さんも和歌や書や絵画に長けていたんですって
ところで、だいぶと戻るんですが
山門入って天王殿へ向かうまでの途中にも1つ
とても重要な建物があるのですよ↓
いや
もうちょっと植木刈ってほしい・・・(笑)
この植え込みの間をハチがブンブンしててさ・・・
これだけ植物ある境内だから、境内全体ブンブンしてて
でも刺すとか毒あるハチじゃないから大丈夫ですよって
お寺の方は仰るけど
純粋に虫苦手人からすると、恐ろしい小径・・・
シュバッて通り抜けたけどもさ・・・
こちら、《鎮守堂》
弁天さんが祀られています
むかーしむかし、天保の大飢饉が起こったとき
(歴史の授業で習いましたね~)
作物不作な上に幕府が悪いことしかしなくて
やれ一揆だ暴動だと世の中が大変荒れてましてね
そのとき、法雲寺の守護神として祀られていた弁財天と布袋尊が
神の国にいるという5神を招き呼び、七福神が勢ぞろい!
するとその神通力の加護によって大飢饉も鎮まり
河内の国に平穏と豊穣がよみがえったのですって!
その後神さんたちは、法雲寺境内に流れていた西除川から
宝船に乗り、神の国にお帰りになられたと伝えられています
天王殿に布袋さん
そして鎮守堂に弁天さん
残りの5神は旧流の西除川周辺に安置されているのですが
これがちょっと道がわかりにくいので
境内地図を見てもたどり着けない人もいるとか
いかんせん、境内が広い&背の高い植木が多いために
リアル迷路みたいなんですよ・・・
山門入ってすぐ両サイドにあるツツジの壁の
ちょうど裏側にあたる場所に5神がいます
植え込みを回り込むように進・・・
ちょ、松(笑)(笑)(笑)
この松も、やはり支柱ないですが
どうしてこんなに地面に平行に伸びることができるのか・・・
松の枝に沿うように進んでいくと
ツツジ以外にも多々ある木々の木陰にひっそりと
こっそりと
祀られているので、ぜひ探してみてください
(あえて全員のせませんよ★)
この七福神(5神)ゾーンは木陰も多いので
ここでもピクニックされてる方がいました◎
そうそう、ここには黄檗の木もあるのですよ
黄檗宗の名の由来ともなる木
黄檗宗の開祖である隠元隆琦和尚が
昔いた中国のお寺のある山に、この木がたくさんあったんですね
「えっ、いつのまに」
って、お寺を案内してくださったお姉さん・・・
境内の植木はもっぱらご住職が手掛けているようです
木といえば
でっっっっかいイチョウの木もあるんですよ
天まで伸びるイチョウです
というのはさすがに盛ってますが
なかなか見ない、イチョウの巨木です
枝が広がってなくて、写真じゃ葉っぱの形もよく見えないからわかりづらいと思いますが
イチョウの木
「先代住職が自分で木に登って枝切ったの・・・
危ないよーって言ったのに聞かなくて」
住職・・・!
松の枝切るのとはわけが違う高さですよ・・・!?
なお、オスの木なので、秋になって実が落ちて臭すぎる!ってこともないので
安心してお参りください★
4月のツツジが一番見ごたえありますが
6月にはアジサイが、7月には蓮が咲き乱れますし
色々な植物、色々な形の松が楽しいお寺でございます
また、8月15日にある盂蘭盆会大施餓鬼・万灯会という行事では
夕方から夜にかけて、約1000基の灯籠に火が点されるそうです
「めちゃくちゃ幻想的でキレイだから、ぜひ来てね!」
ぜひ行きたいと思います!!!
最後に、いただいた御朱印をば
中央の墨字は“大寳殿”
左下の墨字は“法雲寺”と書いてあります
右上、“奉拝”の字の下の朱印は“河内西国第六番”
中央の朱印は“仏法僧寳 三千三百三十三”
左下の朱印は“法雲禅寺”
河内西国観音霊場めぐりに
七福神めぐりに
黄檗文化を感じに
お花を見に
ピクニックに
見どころ満載★ご利益満載
歴史ある黄檗宗の法雲寺さん、ぜひお参りください♪
2022.7.3 姫松なつき
〈参考文献〉
●大寶山 法雲禅寺ホームページ
(https://www.oubaku.org/houun/)
●普茶料理 梵
「精進料理と普茶料理」
(https://www.fuchabon.co.jp/detail5/detail5.html)
●黄檗宗大本山 萬福寺
「普茶料理」
(https://www.obakusan.or.jp/eat/)
●公益財団法人 世界緑茶協会
「普茶料理」
(https://www.o-cha.net/teacha/bunka/fucharyouri.html)
●煎茶手帖 蝸盧
「木魚の原型・開梆(魚板)」
(https://sencha-note.com/kaipan/)
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