7月5日、夕方

わたしは何気なくメールボックスを開いた

最近は連絡等はもっぱらLINEなので
ごくたまにしかメールチェックなどしない
しかも、ほとんどDMしか届かないアドレスのメールボックスだ

《From:世界遺産課》

おや

世界遺産課からメールが来ているではないか
何か古墳イベントを開催するのかしら

そう、わたしは百舌鳥古墳群を応援する団体、
“もずふる応援隊”に登録してあるので
百舌鳥古市古墳関係のイベントがあるときは時々メールがくるのだ

なになに・・・

『令和4年7月6日に百舌鳥古市古墳群が世界遺産登録されて3周年を迎えます
 その記念に、羽曳野市役所内ギャラリーで特別展示・・・云々
 また、市役所屋上から古墳の見学ができます』

な、なんだってー!!!

おおっと危ない、明日じゃないか、見逃すところだったぜ・・・
いったいいつこんなメール来てたんだろう

って

《2022/07/05㈫18:05》

おおおおおおい、めっちゃタイムリーに開いたわ!!
普段めったに開かないメールボックスで、
めっちゃタイムリーに重要なメール開いたわ!!!

っていうか

急すぎんか・・・(笑)

これは後からわかったことなのですが
どうやら羽曳野市役所や羽曳野市ホームページでは前から宣伝してたよう
それが予想に反して申し込みが少なかったから
もずふる応援隊にお声がかかったらしい

偶然にも、わたしは6日仕事が休みだった
家でぼちぼち掃除でもするか、くらいしか予定がなかった

台風も大阪はほとんどかすめなかったのか、雨も降らなさそうだ

これは・・・
行けということではないのか・・・!

***

と、いうわけで7月6日、羽曳野市役所に行ってきました!
埴輪なつきでございます★

10時、11時、14時、15時の4回に分けて各回先着20名

これはシビアな戦いになるかもしれない・・・
ということで朝早くに家を出て、ドキドキしながら10時の回に行ったら

10人くらいしかいなかったぜ・・・←

ド平日という日取りが難しかったのか・・・な?

古市古墳群の特製クリアファイルと、
3周年記念オリジナル缶バッジをゲットしてホクホクしていると

(↑墓山古墳のバッジお気に入り♡)

「あのぅ、息子に頼まれて・・・
 限定の缶バッジもらえるとかで・・・」

と、ひとりのおば様が

おお・・・見知らぬ息子さんよ・・・
イベントの存在を知っていても仕事の都合がつかなかったんですね・・・
古墳好きの同志に幸あれ・・・!

時間になり、世界遺産課のおじさんに案内されて、いざ屋上へ

羽曳野市役所は堺市役所ほど高い建物ではないのですが
なかなかどうして高いところから古墳を見るということはないので
まーーーーコーフンしちゃう♡

屋上からは、北東方面に応神おうじん天皇陵が
南西~西方向に向墓山むこうはかやま古墳と墓山はかやま古墳、白鳥しいらとり陵古墳
北西方向に野中宮山のなかみややま古墳が見えます

それらについて、古市古墳群の特徴などとともに色々説明もしてくださいましたので
屋上からのサービスショットとともにわたくしも語らせていただきたいと思います(ドゥフフ♡)

まずは、5世紀前半に築造されたひときわ大きい応神天皇陵古墳

もはや山

あまりに大きすぎて、屋上からでさえその姿をすべて写真に収めることはできませんでした

第15代応神天皇が眠るとされるこの古墳は全国2位の大きさ

一番大きいのは言わずと知れた仁徳にんとく天皇陵で
その長さは486メートル(最新の調査では、500メートルを超えるともいわれています)

応神天皇陵は425メートル

「しかし、古墳の大きさは長さだけで考えていいものでしょうか?」

と職員さん

「長さでは仁徳天皇陵に及びませんが
 “堆積”、つまり古墳の形成に使われている土の量は
 応神天皇陵が日本一という調査結果もあります」

ほほー!なるほど!

「仁徳天皇陵はなだらかですが
 応神天皇陵の方が高さも高く、こんもりしてるんですよ」

同じ高さで仁徳天皇陵を見たことがないので個人的な体感はよくわかりませんが
写真を見た感じ「山!」って思っちゃうくらいには確かに高いですね

大きさというと
世界中にはあちこちに巨大なお墓がありますね

エジプトのピラミッドとか、秦の始皇帝のお墓とか

仁徳天皇陵はそれらに劣らないでかさ
長さでいえば群を抜いて長い

でも、

「他の世界遺産にも並ぶくらいでかいから仁徳天皇陵も世界遺産に認定よ★ついでに周りのも世界遺産にしとくね!」

といわれたわけではないんですね

百舌鳥古市古墳群が世界遺産に登録された理由は
古市古墳群でいえば、4キロメートル四方に渡り、古墳が点在していること

でっかいのが1つドーン!とあるだけじゃ、認定ポイントにはならないんですって

「古墳がたくさんあるけど、家もたくさんある・・・
 それはかなりマイナスポイントになるんじゃないかな、と思っていました」

そう

羽曳野も堺も、けして古墳しかありません!ってほど田舎じゃないですからね
長い年月の中で、人々は自分たちが暮らすために道を作り家を建て・・・
そこそこ栄えた街です

世界遺産認定の協議が行われたのは、アゼルバイジャンのバクーという都市
そこに色んな国の人が集まって、多数決で世界遺産認定か否かを決めるそうなのですが

百舌鳥古市古墳群は、なんと満場一致で“認定”!!

むしろ、家が立ち並んでいることが評価されたんです
というのも

「たくさん家があって開発された街であるのに、1600年も昔のものも残っていることがスゴイ」

と思われたそう

たしかに古墳は、どんなお城より、どんな寺社より古いもの

人々の暮らしの中で壊されてしまった古墳も数多くありますが
古市古墳群は特に、右見ても左見ても古墳があるのに
家もお店も車もたくさんあって、たくさんの人が暮らしてる

住んでる人からしたら当たり前な光景過ぎて気にもしなかったのが
異国の人々には大変評価されたんですね

ただ、「世界遺産登録されたヤッタ~!」で終わるわけにはいかないんですね
今後は古墳群をどう守り後世に伝えるかが重要であり
そのためには、お国だけが頑張るのではなく、その場に住んでいる人たちの協力も不可欠

いや~~~

「世界遺産ワーイ!」と思ってた身からすると、考えさせられるお話でした(汗)

さて、続きましての古墳は、

向墓山古墳(左)&墓山古墳(右)
ともに、応神天皇陵と同じ5世紀前半に造られたとされる古墳です

奥の方、二つの古墳の間に見えているのが白鳥陵古墳

たしかに・・・
普通の住宅街の中に、小山がこんなにもあるのって
独特な景観ですよね
堺でも羽曳野でも、山?って思うのはだいたい古墳なので
世界遺産の街ならではの風景だと思います

これは地上で撮ったショット
左が向墓山古墳で、奥が墓山古墳

見た目じゃわかりませんが、向墓山古墳は方墳です
百舌鳥古墳群と比べて、古市古墳群には方墳が多くあります
理由は・・・不明

百舌鳥古墳群も古市古墳群も、造られた時代は4~5世紀と同じなのですが
違うポイントもあるということです

しかもこの向墓山古墳の一辺はおよそ60メートルであり
全国的に見ても、ここまで大きな方墳はごく数例なんです
なぜこんなに大きな方墳があるのか・・・
それもまた、謎です

墓山古墳は、長さ225メートルの前方後円墳

応神天皇陵の半分しかないのか~ちっちゃ!

と思ったそこのアナタ

それはもう、百舌鳥古市古墳群の巨大さに目が肥えてしまっていますよ・・・

百舌鳥古市古墳群において、200メートルくらいの古墳はとりたててビッグサイズというわけではないのですが

普通は100メートルを超えたら巨大古墳と呼ばれるんですよ

古市には、100メートルどころか、200メートルクラスがごろごろあります

それがいかにすごいことか、特別なことなのか・・・
その地に住んでる人には当たり前すぎて、わからないんですよねぇ・・・

↑屋上から見た墓山古墳の後円部

ほりに沿うようにフェンスがあって、市役所の駐車場があります

遺跡に隣接する駐車場
確かに独特というか、現代と史跡の共存って感じがありますね

墓山古墳は応神天皇陵の陪冢ばいちょう(宝物などを埋めた付属の古墳)とされていますが
先述の通りこれ一つで十分立派な古墳なので、もしかしたら独立した墳墓なのかもしれない、とも考えられています

そして向墓山古墳も応神天皇陵の陪冢とされていますが
墓山古墳が独立した墳墓だった場合、墓山古墳の陪冢なのではと考えられています
なんしかお隣同士だからね

墓山古墳の右手奥、市役所からは北東の方角に見えるのは、野中宮山古墳
場所は羽曳野市ではなく、お隣の藤井寺市になります
こちらは少々古くて、4世紀後半の築造

この古墳にはてっぺんに神社があって、登れる古墳になってるんですよ!
神社の紹介も詳しく書きたいので、野中宮山古墳についてはまた改めてまとめます~~◎

***

と、いう感じでした!

普段見ない高さから古墳群を一望するの、最古サイコーでした!!

羽曳野市や藤井寺市のマンションに住んでる人は、毎日この眺めが見れるのか・・・

古墳の濠沿いにある家も羨ましいけど、古墳の街のマンション暮らしも羨ましいなぁ

そうそう、最後にもう一つ古墳

墓山古墳のすぐ南側にある小さめの古墳、西馬塚にしうまづか古墳
これまた応神天皇陵の陪冢に指定されていますが、墓山古墳の陪冢とも考えられている古墳です

長さ45メートルの方墳で、今でこそ濠は残っていないものの、調査ではかつては幅7メートルの濠があったことがわかっているので、かなりでっかい方墳だったよう

西馬塚古墳は、濠もなければフェンスもほとんどないんですね
登るなんてのは言語道断ですが、
「触るな」とは書いてないので・・・そっと古墳に触れるのはアリ、なのかな

そして周囲は住宅街で、家々と古墳との間の道路もそこまで太くない普通の住宅地の道

わたしの古墳のバイブル『百舌鳥・古市古墳群ガイド』には

「玄関を開けたら5秒で世界遺産。」

というキャッチコピーのような一文が添えられていました(笑)
某レンジごはんのキャッチコピーみたいだけど、「玄関開けたら世界遺産」は普通に考えておかしい(笑)

でも、西馬塚古墳に限らず、百舌鳥古市古墳群周辺の家々は、

「窓を開ければ世界遺産」
「洗濯干すとき世界遺産」
「トイレの窓から世界遺産」

とかが普通にあり得るんだよなぁ・・・(笑)
たぶん実際に暮らしてる人からすると、家の裏山、くらいの感覚なんだろうけど・・・

羽曳野市役所の屋上公開は、今回が初だったわけではなく、ごくごく稀に行われるそうです

この日、市役所からすぐ近くにある古墳雑貨が売ってるお店「大蔵屋」さんにお邪魔したんですが
(大蔵屋さんの記事はコチラ→「大蔵屋①」「大蔵屋②」「大蔵屋③」)
店員のおねーさんも以前屋上に登ったことがあるらしく

「もう~~~感動しますよね!ワー!ってなりますよね!」

と、コーフン気味に話してらっしゃいました
(大蔵屋さんの店員さんはいつも古墳愛に溢れてらっしゃる♡」

羽曳野市役所のホームページを日々チェック・・・するのはなかなか骨が折れそうですが
もし機会があれば、皆さまどうぞ♡

貴重な体験ができてラッキーな埴輪なつきでした~~★

2022.7.10 埴輪なつき

〈参考文献〉
『百舌鳥・古市古墳群ガイド』(発行者:宗形康)

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