嘔吐物と糞尿から生まれた神々③ ~罔象女神と稚産霊~
火の神を生んでおまたを大やけどしたショックから
ゲボ吐いて金属の神を
ウン漏らして土の神を生んだイザナミママン
さらにおションも漏らして
そこから生まれたのが罔象女神と稚産霊
これらは『日本書紀』表記で、
『古事記』表記では
「弥都波能売神」と「和久産巣日神」となります
(今回も、『日本書紀』表記で書きますね!)
罔象女神は、その名の通り女神
稚産霊は男神
『古事記』と『日本書紀』では少々出生が異なっていて
『古事記』では、イザナミの尿から2柱が生まれるのですが
『日本書紀』では、尿から生まれたのは罔象女神のみで
イザナミの股間を燃やして生まれた火の神が
イザナミのウンから生まれた埴安姫を娶って
その二人から生まれたのが稚産霊なんだとか
どちらが正解なのかは
わたしなんぞにはわからない世界でございます
金山夫婦や埴山夫婦と違って、
おションから生まれた2柱は名前が全く異なってます
それゆえに、性質も少々異なります
まず、罔象女神
こちらは水の神さんです
(おションは水みたいなもんですしね←)
水の神というと、真っ先に龍神が思い浮かぶところですが
龍神は川や海の水の神さんであるのに対して
罔象女神はより庶民の生活に身近な存在
“みずは”というのは
「水が走る」とか「水が這う」の意味らしく
田んぼに水を引く灌漑用水の神や
生活用水の神といわれています
また、「水際(みつきは)」が転じたとして
水害のない清泉を表現したやさしい女神さんという
説もあるそう
他にも、「水早(みずは)」として
井戸や泉の出始めという意味もあるそうで
井戸の神さんとしても考えられています
あるいは、農耕にまつわる神さんともされています
と、いうのも
罔象女神は尿から生まれたわけですが
同じタイミングでウンから生まれた埴安の神も生まれてて
ほら・・・
糞尿って畑にとっては肥料でもあるから。ね。
さらに、紙漉きの神さんでもあります
和紙を漉くときには、水はとっても大事
福井県にある岡田おかだ神社というところには
罔象女神が村人に紙漉きを教えたという伝説が
伝わっているそうです
続きまして、稚産霊~~
こちらは、生産の神
生産というと範囲が広すぎてピンときませんが
農業と関係の深い神さんだそうです
とはいえ、水の神としての性格もあります
おションから生まれてますし←
罔象女神ほどわかりやすい水の性はありませんが・・・
“わく”というのは「若々しい」の意味で
“むすび”は「生成する霊」という意味、というわけで
水が持っている、自然を育てる旺盛な生成のパワーを
神格化した神さん、なのだそう
しかし先にも書いた通り、
『古事記』ではおションから生まれてますが
『日本書紀』では火の神と土の神の夫婦から生まれてるので
そうなると水のイメージはゼロですよね(汗)
火+土=焼き畑
だから農耕の神!という説もあったりするのだとか
(どこかのエライ人の見解です)
また、『日本書紀』には
稚産霊が生まれた時、
稚産霊の頭の上に蚕と桑(蚕のエサになる作物)が生じ
ヘソの中に五穀が生じたと書かれてあります
・・・これもなかなかワンダーな表現ですねぇ・・・
さて、ここで今一度、イザナミママンの火の神出産から
振り返ってみましょう
火の神が生まれ
金属の神が生まれ
土の神が生まれ
水の神がうまれ
生産の神が生まれました
火がなければ
農具を作ることができません
鉄を火で溶かして、鉄器はできるのです
そして火は、畑を肥やすために必要ですし
穀物を保存するための土器を作るのにも必要です
火が暴れすぎた時には水による消火も必要
土が肥えて作物が育つためにも、水は大切
火と金属と土と水がそろって
さらに植物の成長促すパワーがあれば
穀物はぐんぐん成長
人々は豊かに暮らせます
イザナミママンは、ただ痛くてゲボって
ウンもらしておションもらしたわけじゃないのです
人々が生活する上で、とってもとっても重要な神さんズを
決死の思いで生み出したんですよ・・・
恐るべし日本神話・・・
奥が深い
なお、ここではわかりやすく
全ての神さんに対して「生まれる」という表現を使いましたが
山の神と埴山の神と罔象女神と稚産霊については
「成れる」という表現が用いられているそうです
(火の神や、それ以前に生まれた神は
「生める」と書かれています)
直接イザナミママンから生まれたわけではなく
イザナミママンが放出した諸々の“物から成った”というのが
正しい表現ではあるようです
そうそうそう
大阪で罔象女神をお祀りする神社はいくつかありますが
ほとんどが、他の水の神さんや、その他いろんな神さんと
合祀されています
大阪市城東区にある野江水神社は
罔象女神だけを主祭神として祀っているようです
稚産霊を主祭神としている神社は・・・
大阪府内では、あるのか、ないのか・・・
ちょっと、調べてもすぐにはみつかりませんでした(汗)
京都の愛宕神社というところが有名みたいです
どうぞみなさん、稚産霊探ししてください~~
ではでは、長くなりましたがこのへんで★
2021.11.24 姫松なつき
〈参考文献〉
●日本神話・神社まとめ
「イザナミの苦しみ」
(https://nihonsinwa.com/page/194.html)
●國學院大學 古事記学センター
「神名データベース 弥都波能売神」
(http://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/mitsuhanomenokami/)
「和久産巣日神」
(http://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/wakumusuhinokami/)
●日本の神様と神社
「ミズハノメノカミのご利益と神格」
(https://xn--u9ju32nb2az79btea.asia/shinto9/shrine48.html)
●日本の神社・寺院検索サイト 八百万の神
「弥都波能売神」
(https://yaokami.jp/osaka/g68370/)
●日本の神様事典 やおよろず
「罔象女神」
(https://yaoyoro.net/%e7%bd%94%e8%b1%a1%e5%a5%b3%e7%a5%9e%ef%bc%88%e3%81%bf%e3%81%a4%e3%81%af%e3%81%ae%e3%82%81%e3%81%ae%e3%81%8b%e3%81%bf%ef%bc%89.html)
「稚産霊神」
(https://xn--u9ju32nb2az79btea.asia/shinto10/shrine51.html)
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