阿倍野の松虫塚 ~街角にも歴史の名残あり~
阿倍野界隈の話が続きます、あとひとつ
安倍晴明神社から聖天山古墳に向かって歩いていますと
亀田組発見★
・・・じゃなくて、その手前に見える、木と石垣
ほんの数年前まで、ここにはでっかい木があって、亀田組は隠れて見えなかったはずなのですよ
よければググっていただだくとわかると思いますが、石垣で囲まれた敷地を余裕ではみ出すくらい枝を広げた巨木
樹齢800年、高さ10メートルもあるエノキがありました
道路計画で伐採される計画があったときも、住民の熱心な保存活動により残されていたのですが
大変残念なことに、2019年の台風で根元からぼっきり折れてしまったそうで、今はもうありません・・・
自然のことばかりはどうしようもないですね・・・
なので見逃してしまうかもしれませんが、亀田組が目印です←
で、これは何かというと
松虫塚です!
(石碑何個あんねん・・・)
ごり押ししてくるかのように、「松虫塚」を示す石碑たち
(一番左の石碑の後ろにあるのが、大木の名残の切り株)
一番新しそうな写真右側の石碑には
「昔から上町台地の上には古墳や塚がつくられることが多かったが
この松虫塚は通りかかりの旅人が松虫の声に聞き入り
命絶えたことをあわれんで供養されたものである」
とあります
ただ、松虫塚の由縁は諸説あって
1つは『古今集』にあるストーリー
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ある日二人の親友が、月の光降り注ぐ夜に
美しい松虫の声を聞きながら
「えぇ音やねぇ」
などと話しつつ歩いていると
虫の音に聞き惚れた一人が、草むらに入っていきました
「おぅい、待てよぅ」
もう一人が追いかけると
親友は草のしとねに伏して死んでしまっておりました
「な、な、なんでや・・・!(泣)」
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っていうお話があるんですって
松虫追いかけて死んでしまった友を泣く泣く埋葬したのが、ここ、松虫塚
というわけ
もう一つは、『芦分舟』にあるストーリー
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後鳥羽上皇に仕えていた官女に、松虫と鈴虫という名の姉妹がおりましたが
この二人が、法然上人の念仏宗に感銘を受け、出家
松虫の局が老後この地に来て、草庵を結び、余生を送ったそうな
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この、後鳥羽上皇と官女の話、以前にちらっと書いたんですよ
(「一運寺②~法然上人~」)
松虫&鈴虫姉妹は念仏宗に感銘を受け、と書きましたが
正しくは、法然さんの弟子の念仏の声があまりにも美しすぎて惹かれちゃったらしく、上皇に黙って勝手に出家したらしい(笑)
官女=宮中に仕える女性のことですが
後鳥羽上皇からしたら「ワシの女」ってなもんで
それが坊さんの声音に惹かれて出家したとか激おこ案件
法然のお弟子さんは死罪、法然さんは流罪になるという事件に繋がるというね・・・
(「建永の法難」というやつ)
いや、呑気に草庵建ててる場合ちゃうよ松虫さん(笑)
由縁となるストーリーはまだあります
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昔々、小野小町がこの地に住んでたそうで
小町さんを慕い訪れたお方がおりまして
世界三大美女ともいわれる小野小町を訪ねるその人もまぁ美人
才色兼備で琴の名手といわれた美女で、小町さんと一緒にこの地に住んでいました
しかし、もちうる限りの秘技を尽くした音色も、松虫の自然の音には及ばないことに嘆き
「虫声そくそく荒野に満つ、恋情を闇にかもして琴瑟を抛つ 」
という詩を吟じて琴を捨てました・・・
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松虫の名所であるこの地に、松虫次郎右衛門という人が住んでいました
次郎右衛門は、それはそれは松虫の音をめちゃくちゃ愛好してることでちょっとした有名人
人は彼を松虫殿と呼ぶようになったとか
彼は松虫の音を終世友として、そしておじいさんになって
「尽きせじな めでたき心 しるならば こけの下にも ともや松虫」
という歌を残して没しました・・・
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などなど
とにもかくにも、ここは昔、松虫の声が美しいことで有名な土地だったようです
松虫っていうと
♪あれ松虫がぁ~鳴いている~~
チンチロチンチロチンチロリン♪
やん?チンチロリンとか鳴くの聞いたことない・・・
でもどうやら、ここでひたすら松虫松虫いうてたのは
今でいう鈴虫のことらしい
松虫ってなんやろ・・・?
なんで最初から鈴虫っていわんと、松虫やったんやろ・・・?
とは気になりましたが
「松虫」ってネットで調べたら絶対写真出てくるだろうから、とてもじゃないけどム☆リ
(姫松は虫苦手)
現在でも、松虫塚の前の道が「松虫通」と呼ばれたり、近くには阪堺線「松虫駅」があるなど、地名に残るほど松虫が残っています
・・・やだなぁ、虫だらけの土地←
(風流もなにもあったもんじゃないヤツ)
ぜひ皆さま、阿倍野界隈を探索される際には、訪れてみてくださいませ◎
2022.9.25 姫松なつき
〈参考文献〉
●大阪あそ歩
「松虫駅(阪堺電車上町線) ここは陰陽師・安倍晴明の里なり」
●阿倍野区ホームページ
「あべの発見!」
●松虫塚敷地内にある由緒書き
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